H o m eスプライト"Blue Jet
巨大ジェット"エルブス他"雷"観測機器"

モノクロCCDビデオカメラによる"

RGB分解撮影/カラ−映像の合成   その1"

3原色分解撮影とは,被写体を3原色(R−赤,G−緑,B−青)の成分に分けて別々に撮影.その後にこの3つの映像をそれぞれのチャネル画像として合成し,カラ−写真を得る方法です.天体写真ではよく用いられる手法で,雑誌などに掲載されている写真でよく見かけます.
各原色の映像を撮るにはおのおのの成分のみを透過させるフィルタ−を使用して撮影します.これで得られた画像はR画像(Rフィルタ−を使用した画像.赤色成分を多く含む),G画像(緑色成分を多く含む),B画像(青成分を多く含む)と呼ばれます.
スプライト観測で使用されるのはワテック社の()で,モノクロCCDビデオカメラです.今回の試みはこのモノクロビデオ画像からRGB撮影/合成でスプライトの「カラ−静止画」,そしてもし可能ならば「カラ−動画」を作ろう!というものです.

天体(星雲,等)の場合,RGBの各映像を撮るには1台のカメラでフィルタ−を交換しながら映す事が出来ますが,スプライトは一瞬の発光現象.フィルタ−を交換している時間はありません.したがって,3台のカメラに3色のフィルタ−を1枚ずつ取り付けて3台同時(LRGBならば4台同時)に映すことが必要です.こんな事が出来るのでしょうか ともかく手頃なフィルタ−を入手して試して見ました.

1. 機材

3原色(RGB)フィルタ−

1.1.1. ケンコ−製「SPカラ−セット(RGBフィルタ−)」
最初に購入したのが株式会社ケンコ−のRGBフィルタ−セット「SPカラ−セット」.これはR,G,Bの3枚のフィルタ−がセットになったものです.材質はガラスのようで,これに各色を透過する色素をコ−ティングしたもののようです(色素フィルタ−と呼ばれるいるそうです).口径のものを購入しました.ヨドバシカメラ本店で円.
3枚のフィルタ−の透過特性(下図)を見るとG,Bでの透過率がかなり低く,そのために画像が暗くなることが予想されます.

ケンコ−製「SPカラ−セット(RGBフィルタ−)」

←「SPカラ−セット(RGBフィルタ−)」の透過特性(株式会社ケンコ−のフィルタ−ガイドブックより抜粋)

予備実験

RGB分解撮影

機材が揃ったら何はともあれ早速カメラに取り付けて「予備実験」を行ってみました.
方法は,カメラ1台に順番にフィルタ−を取り付けて風景を映し,が出力する各色の静止画を得ることにします.ではいつでも好きなときに映像を録画出来る「機能」が付きました.これを利用してフィルタ−を付けたら映像をキャプチャ−して,出力される(映像キャプチャ−開始時点の映像の1フレ−ム.形式)をRGB撮影に使用します.
で撮影した各色の静止画は:

R画像

G画像

B画像

RGBカラ−合成

RGBカラ−合成とは用意した各色の画像(通常は3色.2色でも可)を使ってカラ−映像を合成する事を言います.今回は天体写真画像処理プログラム「」を使用しました.これは天体写真のRGB/LRGB合成を含むいろいろな処理に特化したソフトウエアで,フリ−ウエア−でした.
 
http://homepage3.nifty.com/tsupond/soft/aimx.html

操作は非常に簡単で,各色のファイルを指定し,「処理」なるボタンを押せば即座にカラ−写真が表示されます.各画像の補正や位置合わせなど細かい事をやればキリがないと思いますが,最初の画像合成としてはうまく行ったと思います.

RGB合成されたによる「カラ−映像」

上の3枚の画像を合成して作成した「カラ−画像」.明るいビルは新宿副都心の高層ビル群です.あいにくの曇り空だった事もあり,いまいちピントがあまいですが,記念すべき「RGB合成」の第1回目ということでご容赦願いします.

LRGBカラ−合成

RGBカラ−合成がうまくいったのでさらに調子に乗り「LRGB合成」をやってみました.
LRGB合成とはカラ−映像を「輝度信号」と「色信号」とに分けて撮影し,後から合成する方法です.通常,「輝度信号」はモノクロ画像を使用しますが(L画像),最終的なカラ−画像の品質はこの「L画像」の品質に大きく左右されるため,出来るだけ高品位な映像を撮る必要があるとの事.反対に「色信号」にたいしては人間の目はあまり敏感ではなく,やや低解像度でも充分との事.白黒画像をしっかり撮る事が重要なんですね.
今回の場合は特に高解像度ではなく,単にフィルタ−を外して撮影したモノクロ映像を「L画像」としてLRGB合成を行いました.使用したソフトは同じく.操作はRGB合成とほぼ同じで,L画像とRGB合成した「RGB画像」を指定して実行するだけ.なんとも簡単でした.

LRGB合成されたによる「カラ−映像」

LRGB合成に使用したL画像(モノクロ画像)

観測装置 /カメラ

カメラ

スプライト観測でRGB各画像とL画像を同時に撮るには同じ方向を向いた4台のカメラが必要です.まずは4台のカメラによる夜空のRGB分解/同時撮影が可能かどうか! この疑問の答えを得るべく,カメラ4台の「集積装置」(なんとオ−バ−な名前!)を作りました.取り敢えずは流星などを映してみて,4台のカメラに同じようにトリガ−がかかるかどうかを見てみたいと思います(かなりハ−ドルは高そう..)

家にあった材料で作った「四ツ目カメラ」.ちょっと屋根につけてみました.レンズはと.かなりの重量になりますが今まで使っていた雲台で大丈夫のようです.

May 28, 2005

機材 −2

1.1 3原色(RGB)フィルタ−(2)

製「(RGBフィルタ−)」
次に購入したのが「フィルタ−」.これは干渉フィルタ−と呼ばれるRGB分解用のフィルタ−です.通常の同種のフィルタ−は辺りで長波長側の赤外線をブロックしているのですが,このセットは下図のように3枚のフィルタ−がそれぞれ異なるバンドを受け持って赤外線を透過させています.赤外域にも発光があると言われているスプライトの撮影には適していると思われます.通常の天体撮影では赤外域の発光は不要なので,そのためRGBフィルタ−とは別に「赤外線ブロックフィルタ−()」が付属しています.また反射光低減のために「クリア−フィルタ−」も付属しています.
僕はこのフィルタ−をエンタ−プライズ社の通信販売で購入しました.在庫があったため,夜中の発注にもかかわらず翌日出荷.その翌日には到着しました.レンズ()の口径がなので,フィルタ−は口径品を選びました.価格円+代引き費用.

分光特性と見ると各分光帯はシャ−プに立ち上がっており,透過率は80−90%にも達しています.スプライト撮影では淡い光でのトリガ−が掛からなければならないので透過率が高いのは非常にありがたい特性です.期待できそうですね.

なお,フィルタ−の詳細は次の社のHPに掲載されております.
 
http://www.icas.to/space/index.htm

「」の透過特性(社のHPより抜粋) 3枚のフィルタ−で赤外域の光を透過させているのが特徴です.画面をクリックすれば拡大されます.

(RGBフィルタ−各1枚+赤外カットフィルタ−+クリア−フィルタ−: 合計5枚組)

予備実験(2)

RGB分解撮影 - IDAS BGR Type 4

早速3台に各フィルタ−を付けて夜空に向けてみました.短い時間だったのですが,幸運にも3つの流星がキャプチャ−出来ました.その中から画面中央に捉えた流星を使ってRGB合成映像を作ってみました.
各色の静止画はが出力する「イメ−ジ」(ファイル名:形式−例)を使用しました.

R画像

G画像

B画像

RGB合成 −「ステライメ−ジ5」

上の画像を使って「RGB合成」を行ってみました.使用したソフトは「ステライメ−ジ5」です.天体撮影の画像処理に特化したソフトウエア−で,その筋ではチョ−有名なソフトとの事.RGB合成の前に行った画像処理は:

・感度調整: はその特性上波長が短い光に対しては感度が悪くなります.そのため,低波長のG,B画面で感度調整のための画像処理を行う必要があります.ステライメ−ジでは「演算」コマンドでG,B画面にの係数でかけ算を行い,感度を調整しました().

・バックグラウンド調整:各画面のバックグラウンドを同じようなレベルに合わせる.これもステライメ−ジで実施.

・基準点の設定:基準点とはRGB合成を行う際に各画面の重ね合わせの基準となる点の事です.今回は流星の頭としっぽの先端の2点を基準点としました.これを使うと画像の拡大/縮小,回転等はステライメ−ジが行ってくれます.

通常の天体撮影でのRGB合成では,上記の画像処理の他に「ダ−ク/フラット補正(ダ−クノイズやの感度ムラなどの補正)」,「コンポジット(複数の画像を合成して各色の原画像を得る)」,「ぼかし処理(バックグラウンドの平滑化)」などを行うようですが,これは今後の課題という事で今回は行いませんでした.

RGB合成
ステライメ−ジでの「RGB合成」は他のソフトと同様に非常に簡単です.R,G,Bに対応するファイルを指定して「ボタン」を押すだけ.瞬時に合成画像が表示されます.

感度調整を行わない場合の「RGB合成画像」

観測装置 /カメラ(2)

カメラ

前回作成の「4つ目カメラ」はカメラ位置調整の困難さからボツになりましたが,改めて「三ツ目カメラ」を再度作りました.
自由雲台を入れたり,出来るだけ軽い素材を使ったりいろいろやりましたが結局一番シンプルな形に戻りました.アルミの板の上に直接カメラをねじ止めし,それを雲台の上に乗せています.各カメラの位置合わせが厄介ですが,RGB合成時にソフト的に行う事でここではあまり神経質に位置を合わせてはおりません.それよりも3本x3台のケ−ブルの扱いが大変でカメラの取付け位置を移すたびに大騒ぎとなっております.

RGBフィルタ−「」の各色フィルタ−を装着した3台の.

2005.6.14

予備実験()

流星のRGB分解撮影 - IDAS BGR Type 4

流星のRGB合成映像です.各色の静止画はが出力する「イメ−ジ」(形式)を使用しました.

R画像

G画像

B画像

流星:2005年 6月13日北北西での流星.機材:を3台使用.フィルタ−:IDAS BGR Type 4

RGB合成映像

・基準点の設定:今回も流星の頭としっぽの先端の2点を基準点としました.

感度調整:(ステライメ−ジ「画像」メニュ−の「演算」で,各係数での乗算を行いました.
補正:RGB合成後,色がおかしくならない程度に各色の調整を行いました.
 

予備実験()

流星のRGB分解撮影 - IDAS BGR Type 4

流星のRGB合成映像です.各色の静止画はが出力する「イメ−ジ」(形式)を使用.

R画像

G画像

B画像

流星:2005年 6月14日北北西での流星.機材:を3台使用.フィルタ−:IDAS BGR Type 4

・基準点の設定:今回は流星のしっぽの先端と中央上部の星を基準点としました.

感度調整:(ステライメ−ジ「画像」メニュ−の「演算」で,各係数での乗算を行いました.
補正:RGB合成後,カラ−の調整および「ぼかし」フィルタ−での処理を行いました.
 

RGB合成映像

RGB合成の基準点(ステライメ−ジ)

2005.6.19

予備実験(5)

雷のRGB分解撮影 - IDAS BGR Type 4

出力の「」イメ−ジを使用したRGB合成映像

雷光のRGB合成映像です.各色の静止画はが出力する「イメ−ジ」(形式)を使用しました.

R画像

G画像

B画像

雷:2005年 6月19日群馬県高崎市付近.機材:を3台使用.フィルタ−:IDAS BGR Type 4

・基準点の設定:雷光の上端と雲の一部を基準点としました.

感度調整:(ステライメ−ジ「画像」メニュ−の「演算」で,各係数での乗算を行いました.
補正:RGB合成後,カラ−の調整および「ぼかし」フィルタ−での処理を行いました.
 

RGB合成映像

によるコンポジット画像を使用したRGB合成映像

雷光のRGB合成映像です.各色の静止画はが出力する「コンポジット画像」(形式)を使用しました.

R画像

G画像

B画像

流星:2005年 6月14日北北西での流星.機材:を3台使用.フィルタ−:IDAS BGR Type 4

4.スプライトのRGB合成

2005年8月7日.ようやくスプライトのR,G,B画像を同時にキャプチャ−する事が出来ましたので早速「RGB合成」を行いました.各色の静止画はが出力する「イメ−ジ」(形式)を使用しました.

R画像

G画像

B画像

スプライト:2005年8月7日.機材:を3台使用.フィルタ−:IDAS BGR Type 4

ステライメ−ジ5による「RGB合成」

「RGB合成」では3枚の画像を正確に合成するために各画像に基準点2点を設定し,それが正確に重なるようにして映像を作成します.今回は上図のように基準点を設定しました.

スプライトの「RGB合成」にはステライメ−ジ5を使用しました.このソフトは天体写真では非常に有名なソフトウエア−で,評判通り非常に簡単に「RGB合成」を行う事が出来ます.
この図はキャプチャ−した3枚の画像(RGB各1枚)を表示させ,RGB合成によりカラ−映像を得た所です.また合成したカラ−映像の補正も比較的短時間で行う事が出来ます.

「RGB合成」によるスプライトのカラ−映像

「RGB合成」後,背景色が撮影当時の色に近くなるようにステライメ−ジの「カラ−補正機能」で調整しました.今回は演算による各画像の感度補正は行っておりません.また最後にの「インタ−レ−ス解除」を行い,スプライト部分が滑らかに表示されるように加工しました.

拡大写真

観測機材 5"
item1a1

観測装置 基本システム,カメラ

観測装置 レンズ,観測装置,他"

観測装置 デジタル一眼レフカメラ(1)       "

観測装置 デジタル一眼レフカメラ(2)       "

観測装置 RGB合成法(1)

観測装置 RGB合成法(2)

観測装置 外部トリガーについて

雷検知器「カミナリ2号」について      "

カラーカメラ 赤外線フィルター除去      "